屋上の看板は、建物の屋上部分として数えるのか、工作物として扱うのか
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日影規制は、建築基準法第56条の2で、地方公共団体が条例で指定した区域の「建築物」にかかる決まりです。広告塔などの工作物に建築基準法の条文を当てはめる第88条は、準用する条文を一つずつ挙げていて、その中に第56条の2はありません。屋上に付ける看板を、建物の一部として数えるのか、工作物として扱うのかで、読む条文が変わります。
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01日影規制は、条例で指定した区域の「建築物」にかかる
建築基準法第56条の2第1項の骨組みを抜き出すと、次のとおりです。別表第四(い)欄の地域又は区域の全部又は一部で「地方公共団体の条例で指定する区域」(対象区域)内にある、同表(ろ)欄の建築物は、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時まで(道の区域内にあつては、午前九時から午後三時まで)の間に、同表(は)欄の平均地盤面からの高さの水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える範囲で、条例で指定する時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない、とされています。影を測るのは地面ではなく、この高さの水平面です。
時間は、別表第四(に)欄で、敷地境界線からの水平距離が十メートル以内の範囲と、十メートルを超える範囲に分けて決められています。第1項には、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合などは「この限りでない。」とするただし書きもあります。
別表第四(い)欄に挙がっている地域は、第一種・第二種低層住居専用地域と田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域と準住居地域・近隣商業地域・準工業地域、用途地域の指定のない区域です。商業地域と工業地域・工業専用地域は、この表にありません。(ろ)欄の「制限を受ける建築物」は、低層住居専用地域などでは「軒の高さが七メートルを超える建築物又は地階を除く階数が三以上の建築物」、中高層住居専用地域や住居地域などでは「高さが十メートルを超える建築物」です。用途地域の指定のない区域は、イ(軒の高さ七メートル・階数三)とロ(高さ十メートル)の2つが並び、第1項で、地方公共団体がどちらかを条例で指定します。
02工作物に当てはめる第88条には、第56条の2がない
建築基準法第2条第一号は、建築物を「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)」などとし、「建築設備を含むものとする。」としています。
一方、第88条第1項は、「煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの」について、準用する条文を一つずつ挙げています。第6条(確認)、第20条(構造耐力)、第33条(避雷設備)、第37条(建築材料の品質)などが並び、第56条の2はその中にありません。第88条の第2項から第4項にも、第56条の2はありません。
政令で指定する物は、施行令第138条第1項です。第三号は「高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの」、第四号は「高さが八メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの」です。確認申請の手続きは、看板の高さが4mを超えた時の、確認申請にまとめています。
03「装飾塔」と「物見塔」は、建物の高さの数え方の条文にも出てくる
建築基準法施行令第2条第1項第六号ロは、(前略)「階段室、昇降機塔、装飾塔、物見塔、屋窓その他これらに類する建築物の屋上部分の水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の八分の一以内の場合においては、その部分の高さは、十二メートル(中略)までは、当該建築物の高さに算入しない。」としています。中略の部分には、法第56条の2第4項や法別表第四(ろ)欄二の項、三の項及び四の項ロの場合は「五メートル」と書かれています。同じ号のハは、「棟飾、防火壁の屋上突出部その他これらに類する屋上突出物は、当該建築物の高さに算入しない。」としています。
「装飾塔」と「物見塔」は、この第2条では建物の「屋上部分」として、第138条では工作物として、両方の条文に出てきます。同じ名前の物が、建物の側にも工作物の側にも置かれているということです。
広告塔と広告板は、第138条第1項第三号には名前が出ていますが、第2条第1項第六号ロには出てきません。建物の屋上に付けた広告塔や広告板を、第六号ロの「その他これらに類する建築物の屋上部分」として扱うかどうかは、施行令のこの号には書かれていません。
確認は、第6条第1項で建築主事又は建築副主事(建築主事等)が、第6条の2で国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者が行います。屋上に大きな看板を付ける計画では、確認の申請を出す先に、建物の一部として扱うのか工作物として扱うのかを聞いておくと、読む条文がはっきりします。
東京都の屋外広告物の基準で、屋上の看板の高さがどう決まっているかは、東京都の屋上看板の高さの基準|設置する所までの高さの「3分の2」にまとめています。
04よくある質問
- 商業地域のビルの屋上なら、日影規制は関係ありませんか?
建築基準法別表第四(い)欄に、商業地域は挙がっていません。ただ第56条の2第4項は、「対象区域外にある高さが十メートルを超える建築物で、冬至日において、対象区域内の土地に日影を生じさせるもの」を、対象区域内にある建築物とみなして第1項を適用するとしています。対象区域が道の向こうなど近くにある時は、この項がかかることがあります。屋上の看板がこの「高さ」に関わるかは、まず看板を建物の一部として扱うのか(第2条第一号)、工作物として扱うのかで分かれ、建物の一部として扱う時は施行令第2条第1項第六号の数え方になります。
- 屋上の看板は、建物の高さに入りますか?
施行令第2条第1項第六号ロは、階段室・昇降機塔・装飾塔・物見塔・屋窓などの屋上部分で、水平投影面積の合計が建築面積の八分の一以内なら、一定の高さまで建物の高さに算入しないとしています。ハは、棟飾などの屋上突出物を算入しないとしています。看板がロやハに当たるかは、この号には書かれていません。
- 日影規制で、何時間以上の日影がだめかは、どこで決まりますか?
第56条の2第1項で、地方公共団体が、別表第四(に)欄の(一)、(二)又は(三)の号のうちから条例で指定します。三の項(第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域)は、(一)か(二)のどちらかです。対象区域も、同じく条例で指定します。
出どころ
- e-Gov 法令検索「建築基準法」(2026-09-25 確認)
- e-Gov 法令検索「建築基準法施行令」(2026-09-25 確認)
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