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熱中症対策の義務化で事業者に求められるのは、報告の体制と、悪化を防ぐ手順の2つ

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施行通達は「暑熱な場所」をWBGT28度以上又は気温31度以上の場所とし、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業を対象にしています。

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01第612条の2の2つの項

令和7年6月1日から施行された労働安全衛生規則第612条の2(熱中症を生ずるおそれのある作業)は、事業者に2つを求めています。

第1項は報告の体制です。「暑熱な場所において連続して行われる作業等熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ、当該作業に従事する作業従事者が熱中症の自覚症状を有する場合又は当該作業に従事する作業従事者に熱中症が生じた疑いがあることを当該作業に従事する他の作業従事者が発見した場合にその旨の報告をさせる体制を整備し、当該作業に従事する作業従事者に対し、当該体制を周知させなければならない。」

第2項は悪化を防ぐ手順です。同じ作業を行うときは、あらかじめ、作業場ごとに、「当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察又は処置を受けさせることその他熱中症の症状の悪化を防止するために必要な措置の内容及びその実施に関する手順を定め」、作業従事者に周知させるとしています。

いまの条文の「作業従事者」は、同じ規則の第18条の5で「事業を行う者が行う仕事の作業に従事する者をいう。以下同じ。」と定められています。施行通達は、施行時の条文の言葉「当該作業に従事する者」を「作業者」と呼び、「労働者だけでなく、労働者と同一の場所において当該作業に従事する労働者以外の者を含むものであること。」と説明しています。この記事では、条文を引く時は条文の言葉、通達を引く時は通達の言葉のままにしています。

02対象になる作業(施行通達)

厚生労働省の施行通達(令和7年5月20日 基発0520第6号)は、条文の言葉を次のように説明しています。

条文の言葉通達の説明
暑熱な場所「湿球黒球温度(WBGT)が28度以上又は気温が31度以上の場所」
熱中症を生ずるおそれのある作業上記の場所で「継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業」

通達は、暑熱な場所は「必ずしも事業場内外の特定の作業場のみを指すものではなく」、出張先での作業や、移動して複数の場所で作業を行う場合、作業場所から作業場所への移動時等も含む趣旨としています。「非定常作業、臨時の作業等であっても上記の条件を満たすことが見込まれる場合は対象となること。」ともあります。

当てはまるかどうかは、原則として作業が行われる場所で湿球黒球温度か気温を実測して判断する必要があるとしたうえで、例えば通風のよい屋外作業では、天気予報や環境省の熱中症予防情報サイト等で判断できる場合は「これらを用いても差し支えないこと。」としています。

条件に当てはまらない作業についても、通達は「熱中症を生ずるおそれのある作業に該当しない場合であっても、作業強度や着衣の状況によっては、熱中症のリスクが高まることから、事業者は、改正省令に準じた対応を行うよう努めること。」としています。

03いつまでに決めて知らせるか

報告の体制の整備は、「「熱中症を生ずるおそれのある作業」が行われることが想定される作業日の作業開始前までに行っておく必要がある」とされています。そのうえで通達は、「夏季の屋外作業のように、一定期間、暑熱環境下で作業を行うことが明らかな場合は、十分な余裕をもって体制を整え、当該作業に従事することが見込まれる者に周知しておくよう努めること。」としています。

同じ作業が同一の従事者によって一定期間に連続して行われることが想定され、既に体制の整備と周知が講じられている場合には、「当該措置を作業日ごとに重ねて実施する必要はないこと。」としています。第2項の手順の作成の時期も、これと同様とされています。

04報告の体制と手順の中身

通達は、「報告をさせる体制の整備」には、報告を受ける者の連絡先と連絡方法を定めて明示し、作業の間は随時報告を受けられる状態を保つことが含まれるとしています。電話等による報告を受けるだけでなく、熱中症が生じた疑いのある作業者を早期に発見する観点から推奨される方法として挙げているのは、次のとおりです。

推奨される方法通達の言葉
巡視「責任者等による作業場所の巡視」
バディ制「2人以上の作業者が作業中に互いの健康状態を確認するバディ制の採用」
ウェアラブルデバイス「ウェアラブルデバイスを用いた作業者の熱中症のリスク管理」
定期連絡「責任者・労働者双方向での定期連絡」
組合せ「これらの措置の組合せ」

ウェアラブルデバイスについては、「必ずしも当該機器を着用した者の状態を正確に把握することができるわけではない」ため、他の方法と組み合わせる等によりリスク管理の精度を高めることが望ましい、としています。

第2項の手順について、通達は別添2の手順例を参考にしてよいとしつつ、「必ずしもこれらによらず、作業場所及び作業内容の実態を踏まえて、事業場独自の手順等を定めて差し支えないこと。」としています。事業場の緊急連絡網や、搬送先となる医療機関の連絡先(当該医療機関の所在地を含む。)を定めた場合は、これらも含めて手順例等に書くことが望ましい、ともあります。

周知の方法は、事業場の見やすい箇所への掲示、メールの送付、文書の配布、朝礼での口頭の伝達などで、原則いずれでも差し支えないが、口頭だけでは確実に伝わらない場合などは「必要に応じて、複数の手段を組み合わせて行うこと。」とされています。

05複数の会社が同じ作業場に入る時

通達は、建設現場にみられるような混在作業で、同一の作業場で複数の事業者が作業を行う場合は、「元方事業者及び関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生ずる」としています。措置が行われていなかった場合には、「元方事業者のみに違反が生ずる訳ではなく、当該作業場に関わる全ての事業者に同条違反が生ずる」とあります。周知の方法の例は、各事業者が共同して1つの緊急連絡先を定めて作業者の見やすい場所に掲示すること、メールでの送付、文書の配布等です。

不調に気づくのが別の作業をしている人のこともあるため、通達は「熱中症を生ずるおそれのある作業以外の作業を行う者も含め広く緊急連絡先等を周知することが望ましい」としています。

高い所での作業の決まりは看板を高い所に付ける時の、高所作業車とフルハーネスの資格に、脚立とはしごは脚立と移動はしごは、使ってよい物の決まりが条文にあるにまとめています。

06よくある質問

熱中症対策の義務化の対象は、どんな作業ですか?

施行通達(基発0520第6号)は、WBGT(湿球黒球温度)が28度以上又は気温が31度以上の場所で、継続して1時間以上又は1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業としています。非定常作業や臨時の作業でも、この条件を満たすことが見込まれれば対象です。

同じ作業場に複数の会社が入って作業する時は、誰が対策をしますか?

同じ通達は、同一の作業場で複数の事業者が作業を行う混在作業では、元方事業者と関係請負人の事業者のいずれにも措置義務が生じ、措置が行われていなかった場合には当該作業場に関わる全ての事業者に違反が生じる、としています。

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