看板に英語を添える時の、表音と表意の組み合わせ方
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観光庁は平成26年3月に、「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」をまとめています。対象施設は美術館・博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関などで、店の看板を名前で挙げてはいませんが、何を英語にするかと、英語の書き方の型は、看板に英語を添える時の手がかりになります。
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01何を英語にするかは、情報の3つのタイプと施設の3つの列で分けている
ガイドラインは、多言語対応の対象となる情報を、「禁止・注意を促す」(タイプA)、「名称・案内・誘導・位置を示す」(タイプB)、「展示物等の理解のために文章で解説をしている」(タイプC)に分けています(p7)。タイプAの例は「立入禁止、危険」「禁煙、飲食禁止」などです。
タイプAとタイプBは、「提供情報が明らかに訪日外国人旅行者にとって利用価値が低い場合(例:駅長室、定期券売り場等)を除き、英語併記を行うことを基本とする。」とされています(p8)。タイプCは「視認性や美観等に問題がない限り、英語併記をすることが望ましい。」です。
p9 の表は、施設を3つの列に分けています。「基本ルール」の列は、タイプAとタイプBは日本語と英語の併記が基本、タイプCの英語は表記することが望ましい、の扱いです。外国人の来訪者数や誘致目標などから「英語以外の表記の必要性が高い施設」の列は、視認性や美観等に問題がない限り、ほかの言語も表記することが望ましいとしています。「専ら地域住民の用に供されている施設等」の列は、どのタイプも日本語だけです。
ピクトグラムについては、「ピクトグラムで十分必要な情報を伝えることができる場合は、ピクトグラムの使用が有効であり、外国語の併記を必ずしも必要としない。」と注記しています(p9)。時期は、禁止・注意を促す内容は「速やかに」、名称・案内などは「できる限り早期に」、多言語対応等の措置を講ずることが望ましいとしています(p11)。
02名前の書き方は、「表音」と「表意」の組み合わせ
英語の書き方は、日本語の元の語を「固有名詞」と「普通名詞」に分けて決めています(p13〜p15)。
| 元の語 | ガイドラインの書き方 | 例 |
|---|---|---|
| 日本由来の固有名詞 | 表音表記 | 東京=Tokyo、西新宿=Nishi-Shinjuku |
| 普通名詞部分を含む固有名詞 | 普通名詞部分以外の表音と、普通名詞部分の表意 | 日比谷公園=Hibiya Park、富士山=Mt. Fuji |
| 切り離すと意味をなさない物、全体が不可分の固有名詞として広く認識されている物 | 全体の表音に加えて、普通名詞部分の表意 | 荒川=Arakawa River、清水寺=Kiyomizu-dera Temple |
| 対訳がない日本の普通名詞 | 表音の後に、括弧で説明的な語句 | 暖簾=Noren (Traditional shop curtain) |
表の暖簾の行には、「日本語の表音の表記が既に広く認識されている場合は、説明的な語句は必要としない。」という但し書きがあり、例は「寿司=Sushi」です。対訳のある普通名詞でも、「侍=Samurai」「温泉=Onsen」のように表音だけで足りる場合が挙がっています(p15)。寺と神社の名前を表音と表意の両方で書くのは、Temple や Shrine だけでは「平等院をByodo Templeと表記した場合に平等寺と誤って認識されたり」するおそれがあるためと説明されています(p15の注)。
表音の英語表記は、「常にヘボン式ローマ字を用いることとする。」とされています(p15の注)。このガイドラインは平成26年のもので、令和7年12月の内閣告示「ローマ字のつづり方」より前に作られています。長音については、「長音符号は日本独自のもので、国際化されていないため、外国人に理解されない可能性もある。」と注記しています(p17)。括弧を加える時は「括弧の前に半角スペースを入れる。」、スペースや視認性の観点から略語も使えるとし、例に「Station ⇒Sta. 、Building ⇒Bldg.」を挙げています(p15)。
03管理者が外国語表記を決めている場合
p13 の注は、「管理者が定款等で既に外国語表記を規定している場合(国立科学博物館:National Museum of Nature and Science、帝国ホテル:Imperial Hotel、東京大学:The University of Tokyo等)については、必ずしも本項「2.多言語での表記方法」によらないものとする。」としています。定款等で外国語表記を決めている管理者は、この型によらなくてよいとされています。
04文字の大きさと書体は、このガイドラインの外
p5 は、「多言語対応に関する考え方の範疇から離れる文字の大きさ・書体の考え方については特段記載しないこととした。」としています。看板の日本語と英語の文字の大きさや書体は、このガイドラインでは決まっていません。
デザインについては、p71 が、標識やサインの新設・改修を行う際には、周辺の自然環境や空間との調和を図る観点と、訪日外国人旅行者にとって分かりやすいものとなるよう、適切な限り統一感を持たせる観点から、「標識やサインのデザインにも留意することが適切である。」としています。
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05よくある質問
- 店の看板にも、このガイドラインは当てはまりますか?
ガイドラインは対象施設を「美術館・博物館、自然公園、観光地、道路、公共交通機関等」としていて(p4)、店の看板を名前で挙げてはいません。何を英語にするかの分け方と、英語の書き方の型は、店の看板に英語を添える時の手がかりとして読めます。
- 「立入禁止」や「禁煙」の札は、英語も付けたほうがよいですか?
ガイドラインの p9 の表では、「基本ルール」の施設の禁止・注意を促す表示(タイプA)は、提供情報が明らかに訪日外国人旅行者にとって利用価値が低い場合を除き、日本語と英語の併記が基本で、「専ら地域住民の用に供されている施設等」は日本語だけです。ピクトグラムで十分伝わる場合は、外国語の併記を必ずしも必要としないとも注記しています。
- 看板の英語に、長音の記号(Tōkyō の ō)を付けたほうがよいですか?
ガイドラインの p17 は、ヘボン式の備考で「長音は母音字の上に「-」(長音符標)をつけて表すことができる。」とし、長音が大文字の場合は母音字を並べることができるとしています。そのうえで注で、「長音符号は日本独自のもので、国際化されていないため、外国人に理解されない可能性もある。」とし、長音符号の使用は事業者や自治体等で対応が異なる、もしくは使用しない場合があるため、表示にあたっては確認が必要としています。
出どころ
- 観光庁「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」(平成26年3月)(2026-09-25 確認)
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