満足度などの主観的評価による「No.1」の根拠は、少なくとも4つの条件を満たす調査で
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消費者庁は令和6年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表しました。第三者(例えば調査会社等)が表示の裏付けとなる調査を行っていたとしても、不当なNo.1表示等についての責任は広告主にあることを改めて呼び掛ける予定としています(26ページ)。
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01離れて読まれる看板の注記と、QRコード
「No.1」の横に、調べ方の注記を小さく添える看板があります。報告書の18ページは、比較する商品等の選び方について、サンプリング調査で「比較対象企業選定条件:「○○」で検索上位○社(検索エンジン名)」という注記が見られたとし、「このような注記をしていても、記載位置、文字の大きさ、文字の色等を踏まえ、一般消費者にとって明瞭でない方法により注記がされている場合は、表示内容と調査結果が適切に対応しているとはいえず、景品表示法上問題となるおそれがある。」としています。
看板は、離れた所から読まれます。「No.1」の文字を大きくすると、注記との差が開きやすくなります。注記が遠くから読めない大きさ・色になっていないかは、この一文に当たる所です。ただ、注記を読める大きさにしても、調査の中身が表示と合っていなければ足りません。報告書の20ページは、「顧客満足度No.1」の表示で、「サイトイメージ調査」などの注記について、注記があったとしても、表示内容と調査結果が適切に対応していないことに変わりはないとしています。
報告書の25〜26ページは、表示の根拠となる調査の内容について、一般消費者が確認できるようにすることが望ましいとし、「表示物に調査方法の概要を表示することや、直接表示することが難しい場合においては、例えばQRコードを記載するなどして容易に確認できるようにすることも一つの方法である。」としています。
02報告書が挙げる、少なくとも4つの条件
報告書の17ページは、アンケート調査などで主観的評価を調べる場合、その結果が合理的な根拠と認められるためには、「少なくとも次の①から④までを満たしている必要がある」としています。18〜21ページは、①〜③の節ごとに、合理的な根拠に基づいているとはいえず、景品表示法上問題となるおそれがある例を挙げています。
| 報告書17ページの条件 | 報告書の例と載っている所 |
|---|---|
| ① 比較する商品等が適切に選定されていること | 市場における主要な同種商品等の一部又は全部を比較対象に含めずに調査を行っている場合/インターネット検索で上位表示された同種商品等を比較対象として選定しているだけの場合(⑴・18ページ) |
| ② 調査対象者が適切に選定されていること | 自社の商品等を継続的に購入している顧客だけを調査対象者に選定する場合/調査対象者として自社の社員や関係者を選定する場合(⑵ア・18ページ)/「満足度No.1」を訴求する表示の根拠としてイメージ調査のみが実施されているケース(⑵イ・19ページ) |
| ③ 調査が公平な方法で実施されていること | 自社に有利になるよう回答を誘導する場合/自社の商品等が1位になるまで調査を繰り返している、1位になったタイミングで調査を終了するなど、結論ありきの調査が行われている場合(⑶・21ページ) |
| ④ 表示内容と調査結果が適切に対応していること | ④だけを扱う節はありません。⑴の注記(18ページ)は、一般消費者にとって明瞭でない方法で注記がされている場合に、⑵イの注記(20ページ)は、注記があったとしても、表示内容と調査結果が適切に対応しているとはいえない、とされています |
どのような調査を行えば合理的な根拠となるかは、「個別の事案ごとに、表示の内容、商品等の特性等を踏まえて判断される問題である。」とされています(21ページ)。
03「顧客満足度」は、特段の事情がない限り、使った人に聞いた結果と考えられる
報告書の19ページは、少なくとも対象商品等を実際に利用したことがある者でなければ、満足したかどうかを適切に判断することはできないと考えられるとしています。そのため、「顧客満足度No.1」のような表示は、特段の事情がない限り、実際に利用したことがある者を対象に調査をした結果、第1位であったかのように示す表示であると考えられる、としています。
20ページには、「サイトイメージ調査」「本ブランドの利用有無は聴取していません。」などの注記の例が挙がり、これらの注記があったとしても、表示内容と調査結果が適切に対応していないことに変わりはないとされています。「~したい」「~と思う」などのフレーズを用いたNo.1表示についても、表示の内容によっては、実際の利用者に調査をした結果、第1位であったかのように示す表示に当たる場合があると考えられるため、「景品表示法上、留意が必要である。」としています(20ページ)。
04看板も、景品表示法でいう「表示」
景品表示法第2条第4項は、「表示」を、顧客を誘引するための手段として事業者が行う広告その他の表示で、「内閣総理大臣が指定するもの」としています。その指定である昭和37年公正取引委員会告示第3号の2の第三号に、「ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告」が挙がっています。
第5条第一号が禁じるのは、商品又は役務の品質、規格その他の内容について、実際のものや他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示で、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるものです。
第7条第2項は、「前項の規定による命令(以下「措置命令」という。)に関し」、表示が第5条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、表示をした事業者に対し、期間を定めて、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。」としています。事業者が資料を提出しないときは、措置命令の規定を当てはめる上では、その表示は第一号に該当する表示とみなされます。
05「調査会社が適法と言っている」だけでは足りない
報告書の24ページは、不当なNo.1表示等がされる要因の一つに、広告主が「調査のことを聞いても分からない」、「他社も同じ調査会社を利用しているから大丈夫」、「調査会社が適法と言っている」等の理由から、自ら調査内容を十分に確認することもなく、安易に、法的に問題がないものと結論付けてしまっている点を挙げ、このうち問題が大きいのはこの点だとしています。
25ページは、「単に、第三者機関による調査が実施されていることのみを確認するだけでは不十分であり、調査内容が表示内容と適切に対応しているかどうかなど、自らの責任において当該No.1表示等が合理的な根拠を有しているといえるかを確認する必要がある。」としています。
24〜25ページは、消費者庁の管理措置指針の7項目を挙げ、その⑥に、表示の根拠となる情報を「商品等が一般消費者に供給され得ると合理的に考えられる期間保管するなど、事後的に確認できるようにすること。」を置いています。看板は、何年も同じ文字を掲げ続けることがある表示物です。
06よくある質問
- 看板の「No.1」の根拠を求められたら、どうなりますか?
景品表示法第7条第2項は、措置命令に関し、第5条第一号に該当するか否かを判断するため必要があると認めるときは、表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるとしています。事業者が資料を提出しないときは、措置命令の規定を当てはめる上では、その表示は第一号に該当する表示とみなされます。
- 調査会社に頼んだ調査なら、看板に「No.1」と入れても大丈夫ですか?
報告書は、第三者機関による調査が実施されていることのみを確認するだけでは不十分で、自らの責任において、合理的な根拠を有しているといえるかを確認する必要があるとしています(25ページ)。第三者が調査を行っていたとしても、不当なNo.1表示等についての責任は広告主にあることを改めて呼び掛ける予定としています(26ページ)。
- いつも来てくれるお客さんだけに聞いたアンケートで、「満足度No.1」と書けますか?
報告書の18ページは、商品等についての主観的評価を調査する場合、少なくとも、調査対象者は無作為に抽出された者である必要があるとし、自社の商品等を継続的に購入している顧客だけを調査対象者に選定する場合を、合理的な根拠に基づいているとはいえず、景品表示法上問題となるおそれがある例に挙げています。比較する同種商品等の選び方(①)も、条件に入っています。
出どころ
- e-Gov 法令検索「不当景品類及び不当表示防止法」(2026-09-25 確認)
- 消費者庁「不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)(2026-09-25 確認)
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(令和6年9月)(2026-09-25 確認)
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書の公表について」(令和6年9月26日)(2026-09-25 確認)
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