看板の製作・デザイン・取付の外注と、取適法の明示の義務と禁止行為
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下請代金支払遅延等防止法は、2026年1月1日から「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)として施行されています。この法律では、第2条に当てはまる頼む側を「委託事業者」、頼まれる側を「中小受託事業者」と呼びます。
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01運用基準にある、広告物の取付けと看板のデザインの例
公正取引委員会の運用基準は、「5 買いたたき」の違反行為事例に、看板屋さんの仕事に近い例を2つ挙げています。
- 役務提供委託の事例5-15(2):「委託事業者は、広告物の取付けを委託している中小受託事業者に対し、従来の単価から一律に一定率で単価を引き下げることにより、通常の対価を大幅に下回る代金の額を定めた。」
- 情報成果物作成委託の事例5-13(1):「委託事業者は、看板のデザインの制作を委託している中小受託事業者に対し、十分な協議をすることなく、過去に他の事業者に対し同様の業務を発注した際の価格を指定することにより、通常の対価を大幅に下回る代金の額を定めた。」
買いたたきは、第5条第1項第五号の「中小受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い製造委託等代金の額を不当に定めること。」です。運用基準は、違反行為事例について「これらは代表的なものであって、これら以外は問題とならないということではないので留意する必要がある。」としています(第1の2)。
02看板屋さんの仕事に近い委託の種類
第2条は、第1項から第5項まで委託の種類を分け(第5項は特定運送委託)、第6項でこれらをまとめて「製造委託等」としています。看板屋さんの仕事に近い4つを抜き出すと、次のとおりです。
| 委託の種類 | 第2条の書き方(抜き出し) |
|---|---|
| 製造委託(第1項) | 事業者が業として行う販売若しくは業として請け負う製造(加工を含む。…)の目的物たる物品若しくはその半製品、部品、附属品若しくは原材料…の製造を他の事業者に委託すること… |
| 修理委託(第2項) | 事業者が業として請け負う物品の修理の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること… |
| 情報成果物作成委託(第3項) | 事業者が業として行う提供若しくは業として請け負う作成の目的たる情報成果物の作成の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること… |
| 役務提供委託(第4項) | 事業者が業として行う提供の目的たる役務の提供の行為の全部又は一部を他の事業者に委託すること(建設業(…)を営む者が業として請け負う建設工事(…)の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせることを除く。) |
情報成果物の第2条第7項第三号は「文字、図形若しくは記号若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合により構成されるもの」で、運用基準はその例に「設計図、ポスターのデザイン、商品・容器のデザイン、コンサルティングレポート、雑誌広告」を挙げています(1-3(2)③)。看板のデザインの例(5-13(1))は、情報成果物作成委託の違反行為事例の中に置かれています。
第4項の括弧書きは、建設業を営む者が業として請け負う建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせることを、役務提供委託から除いています。広告物の取付けの例(5-15(2))は役務提供委託の違反行為事例の中にありますが、看板の取付がこの括弧書きの建設工事に当たるかどうかは、条文にも運用基準のこの例にも書かれていません。
この法律が当てはまるかは、委託の種類に加えて、頼む側と頼まれる側の資本金の額又は出資の総額の区分か、常時使用する従業員の数などで決まります(第2条第8項〜第10項)。従業員の数では、第8項第五号が「常時使用する従業員の数が三百人を超える法人たる事業者」から三百人以下の事業者への委託を挙げていて、これが効くのは、製造委託・修理委託・特定運送委託と、政令で定める情報成果物・役務に係る委託です。第8項第六号は、それ以外の情報成果物作成委託と役務提供委託について、「常時使用する従業員の数が百人を超える法人たる事業者」から百人以下の事業者への委託を挙げています。
03頼んだら、直ちに給付の内容と代金の額を明示する
第4条第1項は、委託事業者は、製造委託等をした場合は、「直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法」により明示しなければならないとしています。内容が定められないことにつき正当な理由がある事項は、定められた後直ちに明示します。第2項は、電磁的方法で明示した場合に、中小受託事業者から書面の交付を求められたときは、遅滞なく交付しなければならないとしています(公正取引委員会規則で定める場合を除く)。
運用基準の5-6は、代金の額を定めずに部品を発注し、納品された後に中小受託事業者と協議することなく代金の額を定めた例、5-11は、代金の額を定めずにプログラムの作成を委託し、受領後に十分に協議をすることなく代金の額を定めた例です。どちらにも、「代金の額が定められないことにつき正当な理由がある場合を除き、代金の額を定めないまま委託することは、法第4条に違反する。」と添えられています。
04委託事業者がしてはならないこと
第5条第1項は、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに給付の受領を拒むこと(第一号)、製造委託等代金を支払期日の経過後なお支払わないこと(第二号)、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに製造委託等代金の額を減ずること(第三号)、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに受領した後に給付に係る物を引き取らせること(第四号)、買いたたき(第五号)などを挙げています。役務提供委託と特定運送委託では、第一号と第四号は除かれます。第二号の括弧書きは、支払について「手形を交付すること」と、金銭及び手形以外の支払手段で、支払期日までに代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含むとしています。
第5条第2項第四号は、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、「当該協議に応じず、又は当該協議において中小受託事業者の求めた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること。」を挙げ、これによって中小受託事業者の利益を不当に害してはならないとしています。
05よくある質問
- 看板の取付を外に頼む時にも、取適法は関係しますか?
公正取引委員会の運用基準は、役務提供委託の違反行為事例(5-15(2))に、広告物の取付けを委託している中小受託事業者に対し、従来の単価から一律に一定率で単価を引き下げて、通常の対価を大幅に下回る代金の額を定めた例を挙げています。一方、第2条第4項は、建設業を営む者が請け負う建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせることを役務提供委託から除いていて、看板の取付がこれに当たるかは、条文と運用基準のこの例には書かれていません。
- 口頭で頼んで、代金は後で決めてもよいですか?
第4条第1項は、製造委託等をした場合は直ちに、給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法などを書面又は電磁的方法で明示しなければならないとしています。運用基準は、代金の額が定められないことにつき正当な理由がある場合を除き、代金の額を定めないまま委託することは第4条に違反するとしています。
- 頼まれた側から代金の見直しを求められたら、どうすればよいですか?
第5条第2項第四号は、中小受託事業者が代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、協議に応じず、又は協議で求められた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に代金の額を決定することで、中小受託事業者の利益を不当に害してはならないとしています。
出どころ
- e-Gov 法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(2026-09-25 確認)
- 公正取引委員会「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律の運用基準」(2026-09-25 確認)
- 公正取引委員会「2026年1月から「下請法」は「取適法」へ!」(リーフレット)(2026-09-25 確認)
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